最近たびたび話題になる「ベーシックインカム(basic income)」という言葉をご存知でしょうか?菅政権が発足して初めて耳にしたという人も多いかもしれません。
しかし、実際のところあまりよくわからない・・・というのが本音ではないでしょうか。
具体的にどんなものなのか?私たちの生活にどんな影響があるのか?
ここでは、そんな今気になるワード、べーシックインカムについてご紹介します。
社会問題解決へのカギ!?ベーシックインカムって何?
まずは、ベーシックインカムとは何なのか?について見ていきましょう。
ベーシックインカムは、「政府が無条件で国民に一定金額を給付する仕組み」のことです。
和訳すると「最低所得保障」となるように、立場や所得の違いなどに関係なく、全国民に一定金額が支給されます。
これだけ聞くと、かなり聞こえの良い制度ですよね。
しかし、すでにアメリカ、カナダ、オランダ、イタリア、インド等、世界各国で導入実験が行われているベーシックインカムがなぜ今回日本で導入が検討されているのか。
その背景には、「コロナ禍」があります。
ベーシックインカムが話題になった理由は?
2020年、世界をがらりと変えてしまった新型コロナウイルス。
もちろん日本も、甚大な影響を受けました。
飲食業界やエンタメ業界を初めとして、景気は急激に悪化、経済停滞に陥りました。またそれに伴い失業者が急増したことも、さらに景気悪化を加速させました。
この負のスパイラルを少しでも食い止めるため、政府がベーシックインカムの導入を掲げたのです。
現在議論されている具体的な内容は以下の通り。
・全ての社会保障制度を廃止する
・国民全員に月7万円を支給する
つまり、社会保障制度を廃止して浮いた予算を、ベーシックインカムに回すというものです。
これだけ見ると、かなり大胆な政策ですね。
ベーシックインカムで生活は変わる?メリットとデメリットは?
具体的な内容はわかりましたが、実際気になるのは、「私たちの生活に影響があるのか?」ということ。
「月7万円もらえるのはいいけれど、社会保障制度を廃止してしまって問題はないの・・・?」など、気になることも多いはず。
それでは、ベーシックインカムのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
ベーシックインカムのメリット
① 貧困・少子化対策になる
ベーシックインカムは、生活保護などと異なり、無条件で現金が支給されるので、貧困対策になります。さらに、仕事をしながらも貧困に苦しむワーキングプア対策にもつながります。
また、「個人単位での支給」であるため、世帯内の子供が多ければ多いほど支給される現金が増えるということで、少子化問題の解消にも効果があるといわれています。
② 犯罪の減少
直接的な解決となるわけではありませんが、貧困対策によって、人々に経済的余裕が生まれることで、窃盗などの犯罪が減少します。
③ 労働環境の改善
最低限の生活が保障されることで、人々に仕事を選ぶ余裕が生まれるので、労働環境や待遇の悪い、いわゆる「ブラック企業」が減少すると言われています。
また、収入を得るための「生活残業」も減るため、労働以外の時間が増え、自分のやりたいことに充てることができます。
そうした時間がさらに多様な働き方に繋がります。
ベーシックインカムのデメリット
① 労働意欲の低下
生活が保障されることで、労働意欲が低下する可能性も考えられます。
労働をしなくても生きていけるのならば、働かないことを選ぶ人も多いでしょう、
また、仕事を選ぶ余裕が生まれることで、人気のない職種の人口が減ることも心配されています。
② 大幅な増税
ベーシックインカムを導入するには、やはり膨大な財源が必要。
現在の日本の人口は約1億2500万人。
全国民に月7万円で支給すると、毎月の予算は8兆7500億円、年間で105兆円にもなります。
この財源を捻出するために増税、そしてそれによって物価が上昇することも考えられます。
③ 社会福祉水準の低下
そして何よりのデメリットは、社会保障制度を廃止することでしょう。
例えば、健康保険が廃止されると、医療費が全額自己負担になります。
民間の生命保険に加入していない限り、医療費を自分で捻出しなければいけないというのは、かなり厳しいのではないでしょうか。
ベーシックインカムについて まとめ
以上、ベーシックインカムについてご紹介しました。
いずれにせよ、現在日本が掲げている、ベーシックインカムを導入するのは難しいように思えます。
月7万円は、全国民が無条件で受け取れるとはいえ、それだけではとても生活できない金額。
それに加え、社会保障制度を廃止するということで、かえって国民の不安をあおり、経済の停滞を促進してしまう可能性もあります。
特に持病がある人などにとっては死活問題とも言えるかもしれませんよね。
とはいえ、社会保障制度も見直しの時期に来ていることも事実としてあるので、検討されていることは間違いないので、今後の動きには要注目です。
その時に備えて、しっかり知識をつけておきたいですね。